東禅寺 扁額

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東禅寺 扁額



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 東禅寺は、白金高輪に位置する禅宗寺院である。開基は徳川家康の軍学指南の嶺南和尚。はじめ赤坂の霊南坂にあったが、寛永13年(1617)、高輪に移った。江戸時代には寺の総門が海に面しており、門から台地へと延びる東禅寺は、さながら海上に浮かぶ壮大な寺院に見えたという。また東禅寺は、幕末、最初のイギリス仮公使館となり、水戸浪士にオールコック公使らが襲撃される事件のあった寺としても名高い。

 本堂正面にかかる扁額「海上禅林」は、銘こそないものの、寺では朝鮮国の雪峯の書と伝えている。また、『江戸名所図会』にも、「此門の額海上禅林の四大字は朝鮮国雪峯の書なり。頗る世に称せり」と記されており、当時からこの扁額が有名であったことがわかる。

 雪峯は、寛永20年(1643)と明暦元年(1655)の2回、朝鮮からの通信使に随行してきた、写字官・金義信である(雪峯は号)。東禅寺にはこのほかにも、寛永20年に書かれた、雪峯の「曹渓」という行書の額も所蔵されている。〔以上、大瀧晴子「朝鮮通信使随行員・雪峯の額」『統一日報』1986年10月14・15日による〕

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山門。


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本堂。