安陽寺 亀趺

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安陽寺 亀趺

京畿道有形文化財第93号

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 この仏像は、三角形の岩に彫刻された磨崖薬師仏座像である。大きなものではないが、光背と台座を備えており、彫刻手法が精巧であり、仏身の比例も優れている。この薬師仏の頭には、肉髷がある。体躯は長大であり、右肩を露わにした法衣を着ている。光背は、頭光と身光がそれぞれ3重円で構成されており、その周囲に火焔紋が彫刻されている。台座の下台石には、花冠が下を向いた覆蓮があり、中台石は短い4つの柱からなっており、上台石には、花冠が上を向いた仰蓮が仏像の膝を覆うように彫刻されている。仏像の右側に、「太平2年(高麗 景宗2年、977)7月29日、古石仏を重修し、皇帝の万歳を祈願する(太平二年丁丑七月廿九日古石佛在如賜工重脩為今上皇帝萬歳願)」という銘文がある。しかし、この仏像には、新たに彫刻を加えた痕跡がないことから見て、仏龕や家具など修繕したものと思われる。この仏像は、造成年代が確実なことのみならず、彫刻技法が繊細で保存状態が良好であり、高麗前期の仏像研究に貴重な資料と評価される。〔以上、「案内板」による〕

* この碑のものと思われる碑文の一部が、高麗 仁宗9年(1131)に立てられた「安養碑」として、『大東金石書』に収められている。また、最近の研究によれば、高麗 禑王7年(1381)に重建された安養寺七層塼塔の重修碑と推定されているが(朴慶植「安養 安養寺の七層塼塔と亀趺」『文化史学』11・12・13、1999)、信憑性に欠ける。


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非常に巨大で雄壮な亀趺。碑身が残っていないのが惜しまれる。