太平二年銘 磨崖薬師仏 座像

sign.jpg

太平二年銘 磨崖薬師仏 座像

史蹟第352号

DSCF0037.jpg

 この仏像は、三角形の岩に彫刻された磨崖薬師仏座像である。大きなものではないが、光背と台座を備えており、彫刻手法が精巧であり、仏身の比例も優れている。この薬師仏の頭には、肉髷がある。体躯は長大であり、右肩を露わにした法衣を着ている。光背は、頭光と身光がそれぞれ3重円で構成されており、その周囲に火焔紋が彫刻されている。台座の下台石には、花冠が下を向いた覆蓮があり、中台石は短い4つの柱からなっており、上台石には、花冠が上を向いた仰蓮が仏像の膝を覆うように彫刻されている。仏像の右側に、「太平2年(高麗 景宗2年、977)7月29日、古石仏を重修し、皇帝の万歳を祈願する(太平二年丁丑七月廿九日古石佛在如賜工重脩為今上皇帝萬歳願)」という銘文がある。しかし、この仏像には、新たに彫刻を加えた痕跡がないことから見て、仏龕や家具など修繕したものと思われる。この仏像は、造成年代が確実なことのみならず、彫刻技法が繊細で保存状態が良好であり、高麗前期の仏像研究に貴重な資料と評価される。〔以上、「案内板」による〕

DSCF0052.jpg

銘文は、大らかな字体で彫られている。


DSCF0099.jpg

磨崖仏のすぐ脇には薬水がある