龍珠寺 梵鐘

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龍珠寺 梵鐘

国宝第120号

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 龍珠寺は、朝鮮正祖14年(1790)、焼失した葛陽寺の故地に、思悼世子の陵である顕隆園に、冥福を祈るための陵寺として建てられた寺である。梵鐘は、寺で時を知らせたり、様々な仏教行事に使用する巨大な鐘であり、衆生を救済する仏家の一道具であるが、この龍珠寺の梵鐘は、全長1.44m、口径87cm であり、統一新羅の時から伝わる、我が国の伝統的な梵鐘様式に忠実にしたがっている。鐘の模様を見ると、鐘の音を左右する音筒が一番上にあり、その横に龍の模様の鐘を吊す環(龍鈕)がある。鐘の胴体には、上・下帯に玉文と如意頭文で装飾された半円模様の文様と唐草文が彫刻されており、上の部分の帯の下に4 個の乳廓にそれぞれ9個の突起(乳頭)がある。その下には、天衣の裾を翻して雲に乗り天を飛ぶ飛天像と、頭光を備え結跏趺坐したまま、雲に乗り天を飛ぶ三尊像が、代わる代わる刻まれており、高麗時代に作られた他の鐘とは区別される、特異な配置をしている。そして、下にある4個の鐘を撞く場所(撞座)は、四方に蓮華文と渦巻模様で装飾されている。鐘の胴体には、新羅文聖王16年(854)にこの鐘を作ったという銘文があるが、この鐘の形態と一致せず、新羅時代の銅鐘様式に忠実にしたがう、高麗前期の鐘と推定される。〔以上、「案内板」による〕

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銘文は、1922~39年の間に、何者かによって刻まれた偽銘である(梅原末治「朝鮮鐘雑記」『朝鮮学報』7、1955)。

  成皇山葛陽寺
  梵鍾一口釋般
  若鑄成二萬五
  千斤
  今上十六年九
  月日沙門廉居